スタッフ日誌
キッチンに欲しいのは、「使い勝手」か、「仕舞い勝手」か。
2022-02-25
こんにちは、ベルキッチン品質管理企画課のHです。
この業界で働くようになってから、ずっと不思議に感じてきたことがあります。
日本の住宅における収納やキッチンって、「使い勝手」よりも「仕舞い勝手」に重きを置きがちだよなぁ、ということです。
たとえば住宅用として広く普及している「システムキッチン」と、「業務用厨房」とを見比べると、まったく異なる特徴を備えていることに気づきます。
住宅用キッチンの多くは、主たる使い手は決まっている前提で、大容量の引出収納を備えているタイプが主流です。よく聞く特長としては「たくさん仕舞える」「掃除が簡単」といったあたりでしょうか。いずれもとても魅力的なポイントでありつつ、これらの多くはどちらかと言えば「片づけ」の場面に役立つ要素であると言えます。
一方で、レストランの厨房を考えてみます。まず、業務用厨房にとって引出収納は主流ではないことに気づきます。「置く」「かける」といった収納方法を多用しており、新人シェフでもモノの在り処を一目で把握でき、ワンアクションで道具や調味料を手に取ることができます。
住宅用キッチンと業務用キッチン、どちらが優れているとかではなく、同じ「キッチン」でも辿り着いたカタチがあまりに異なることに、面白さを感じます。
かつての日本は、台所はお母さんのお城であることがほとんどで、仕舞いたいものが多くて、来客に備えた体裁をととのえられるLDKを設けることが大切でした。
けれども時代は移り、夫婦共働き世帯は全体の6割を超え、在宅勤務も定着してきました。家事に不慣れな家族にも自力で台所に立ってもらわなければ、仕事と家庭の両立をこなせない世帯も増えています。(我が家もそうです。)そんな時、「誰でも効率的に使えること」に特化した業務用キッチンの発想は、もしかしたら新しい救いの手をさしのべてくれる存在になるかもしれません。
これらをふまえて、最後に商品をアピールします!笑。
従来のように「大容量の収納」「仕舞った時の整った美しさ」といった要素を重んじられるかたへは、当社キッチンからは「su:iji(スイージー)」をお勧めいたします。
無垢の木の扉ですが表面に特殊ウレタン塗装を施しており、世間一般のキッチンと同じ程度のお手入れでご愛用いただけます。一方で、多くの住宅用キッチンと同様に「仕舞うと何がどこにあるかわからない」という要素ははらんでいますので、普段キッチンに立たない人が使おうとすると苦労される(から、立ちたくないと感じやすくなる)可能性もあります。
ご家族の家事参加のハードルをひとつでも下げておきたい、厨房のようなキッチンを選びたいというかたへは、当社からは「フレームキッチン」シリーズがお勧めです。
調理師のかたやプロの料理家さんに選ばれることも多く、モノの在り処が一目でわかる構造のおかげで、「家族がいつの間にか自分で配膳をするようになっていた」という嬉しいエピソードも届いています。ただし収納力に関してはスイージーほどではありません。また、細かいものなどはそのまま置くとバラバラとこぼれたり落ちたりする可能性がありますので、市販のカゴやトレーにまとめて入れるなどをしていただく必要があります。
どちらも捨てがたいというかたへは、キッチンをスイージーに、カップボードをフレームキッチンに、といったハイブリッドパターンもご案内可能です(逆パターンもいけます)。
家づくりはとても大変ですが、台所は家事の比重が非常に高い部分でもあります。脳裏に植え付けられた「当たり前」に捕らわれすぎず、それぞれのご家族にとっての心地よいあり方を、じっくり考えて見つけていただけたらと思います。