スタッフ日誌
ステンレスという素材について2
2022-02-10
こんにちは、ベルキッチン品質管理企画課のNです。
今回はステンレス素材の『表面仕上げ』について、キッチン部材として語ります。
(「素材」というと専門的で難しい部分や、言い回しに気を遣う側面もあります。極力配慮しながら書いていますが、伝え方に誤解を生む表現がありましたら申し訳ありません。)
キッチンでステンレスの表面仕上げと言えば、『鏡面仕上げ』『エンボス仕上げ』『ヘアライン仕上げ』『バイブレーション仕上げ』が代表的です。『鏡面仕上げ』はセクショナルキッチンに多く採用されており、『エンボス、ヘアライン、バイブレーション仕上げ』はシステムキッチンに採用されています。
鏡面仕上げ:鏡のようにピカピカのものから、少し曇ったものまで
エンボス仕上げ:凹凸形状 ドット(水玉)柄、チェッカー(市松)柄、ダル柄
ヘアライン:細かい直線的なライン(磨き目)が連続した模様
バイブレーション:ランダムな円弧状の磨き目
そして、仕上げの加工にて2つに分けてみます。
《研磨加工》:『鏡面仕上げ』『ヘアライン仕上げ』『バイブレーション仕上げ』に対応。
種類が多い。艶のバリエーションが多様。
キズが『エンボス仕上げ』に比べて付きやすい。
《研磨加工以外》:『エンボス仕上げ』に対応。
圧延加工、コイニング加工など。凹凸仕上げ、表情が豊か。
研磨加工よりキズが付きにくい。熱加工、BA仕上げ。
その他の仕上げについて
※JIS規格にて決まっていましたが、最新版にて削除されていましたので、旧版の内容にて記載します。
JISで記載されていたのはこの程度ですが、これ以外にAISI:アメリカ鋼鉄協会規格の表面仕上げ記号のものもあったり、ステンレスを扱うメーカーではこれ以外にたくさんの仕上げ記号があります。エンボス加工は上記のどの材料を使用してるかによって、風合いが変わってきますし、HL=ヘアラインでもステンレスメーカーやキッチンメーカーによって、ラインの表情が変わります。
もしかしたら、仕上げの種類、仕上げ方法などの多様化のため、JIS規格から仕上げについて記載されなくなったのかもしれません。
また、表面仕上げというものはステンレスに限らず、いろいろな材料や製品の出来栄えを大きく左右し、商品の第一印象を決めます。
よって、ステンレスの研磨加工は職人さんの手で加工されることがあります。研磨加工というのは、「磨きだけを加工だけをする人」、「磨きだけを加工する会社」、商品を作っている企業(工場)の中に「磨きだけをする別会社(外注)を入れて作業」というかたちをとるぐらい、特別扱いされている業界です。エレベーターやエスカレーター、電車など、大型の製品のステンレス部分の磨き加工も、大手メーカーの作業者ではなく、磨き専門の方が実施されると聞いたことがあります。
iPhoneで有名なAppleは、その昔ミュージックプレイヤーであるiPodの裏面の磨き加工を、わざわざ日本の新潟県のある人にやっていだいていたというのをかなり昔にテレビで見ました。でも、現在は専門の職人さんは少なくなっていると思います。
機械化によって『表面仕上げ』の種類は増えていますし、一般的ではない工業製品として扱われていた仕上げが差別化、多様化によって、一般の方が目に触れるような製品に使われたりします。
『ブラスト』『ホットバイブレーション』『クロス@@』『チェッカーVB』『化学発色』などなど、楽しいです。
キッチンのワークトップとしてステンレスであればどんな仕上げでも性能差はほとんどありません。
表面仕上げの違いで料理の出来栄え、時間は変わりません。自分の好みにあった『表面仕上げ』を見つけて、使っていただくことが、料理の時間を楽しく過ごせると思います。