スタッフ日誌
「足し算」のキッチン選びのススメ
2021-07-09
こんにちは、ベルキッチンのスタッフHです。
先日、お客様からこんなご質問がありました。
「スイージーのワークトップの中で、最も傷つきにくくてお勧めなのはどれですか?」
似たようなご質問はこれまでにも何度もいただいたことがあります。
「他社と比べて清掃性はどうか?」「シンクの水はけが一番いいのはどれか?」「木の扉は腐りやすいのか?」「人大はセラミックよりも弱いのか?」などなど・・・。
世の中には実にたくさんの種類のキッチンがあって、そのなかからたった一つ(しかも100万円級のお買い物)を決めきるのって、とっても難しい決断です。だから、「ひとつでも良いから判断材料が欲しい」・・・という必死な思いから、お客様はこういったご質問を寄せてくださっていることと思います。
それに対して、商品開発に携わる部門の一員として、何よりも最初にお伝えしておきたいことがあります。
「どこのメーカーのキッチンを選んでも、台所としての機能は申し分なく果たしてくれます」ということです。
仕事柄、他社や仕入れ先の商品開発、設計部門のかたとお会いすることもありますが、どのかたも真剣に「良いものを作りたい」という思いで商品を生み出しておられます。その道程は決してまっすぐではありません。
商品化するにあたって関わってくる膨大な量の公的規格や法律、品質条件なども逐一調べながら、それに見合った材料や納まりを、扉面材のような大きな部材から金具1本ビスひとつにも要求しなければなりません。
どうにか適した材料が見つかり設計図が出来ても、「自分たちの工場で生産可能か」という課題をクリアしなければ商品化は不可能です。さらに、生産可能であってもコストが合わなければ意味がなくなってしまいます。
何度も壁にぶつかり、後戻りや挫折も思い出せないほど繰り返して途方に暮れて、新たな情報を必死に集め歩きながら次なる策を講じて再び挑む・・・という「3歩進んで2歩下がる(3歩下がることも多々)」の連続です。
世の中に販売されているキッチンは、いずれもこれら幾多の壁を乗りこえて生まれてきたものたちです。
「キズつく」「はがれる」「収納が少ない」「錆びる」といった『引き算』で商品に優劣をつけていくと、マトモなキッチンに見えなくなってしまうことがありますが、それではもったいないし、つまらない・・・と思いませんか?
まずは各社が作っているキッチンは、いずれも「台所として使うには申し分ない」とご安心いただきたいのです。
そのうえで、キッチンに対して何を重視したいのか。その希望に最もこたえてくれるのは、どこのメーカーのどのキッチンか。ご自身の「価値」を「足し算」で考えてみてはいかがでしょうか。
お気に入りの家具のように居心地の良いキッチンを目指したい。
無機質で堅牢なステンレスキャビネット、マグネットの付くホーローキャビネットに憧れる。
床・ドアと統一感をもたせられる総合内装建材メーカーのキッチンに最も惹かれる。
海外食洗機こそかっこいい?大家族向けの大容量収納が必須?とことん水にこだわりたい?・・・のように。
ご予算との兼ね合いもあるので「全て希望通りのキッチン」を選び抜くことは難しかったりもしますが、そういった時にもぜひ「引き算」ではなく「足し算」に目をむけて、お客様ご自身とご家族のなかでの優先順位をつけてみていただけたらと思います。
ちなみに、冒頭のご質問への私からの回答は・・・
「キズつきにくいワークトップ」だけで言うならば、硬い水晶の成分を含んでいるフィオレストーンや人大クオーツが筆頭です。
ただ、例えば慌ただしい炊事の時間で、食器やガラス製保存容器、たまごなどを勢いよく出したり並べたりする習慣のあるかたは、キズつきにくいワークトップ(=硬いワークトップ)ほど、食器や容器のほうが擦り傷をうけたり欠けたりしやすいので、ステンレスや人工大理石のようにやや柔らかく弾性のあるワークトップのほうが実は扱いやすいという一面もあります。
少なくともいずれのワークトップも、台所としてお使いいただくには申し分ないよう、試験と基準をクリアしたかたちで販売させていただいております。
そして、毎日毎日そこでお料理をしていれば、どんなに硬い素材でもいつか小さなキズはつきますし、風合いも変化します。
それらを「劣化」ととらえるのではなく、「それだけお料理をしてきた勲章」としてとらえていただけたら、いつかキズすらも「足し算」の一員になれる日が、来るのではないでしょうか。